改正大気汚染防止法が令和3年4月1日に施行しました。
建築物等の解体等工事における石綿の飛散を防止するため、全ての石綿含有建材への規制対象の拡大、都道府県等への事前調査結果報告の義務付け及び作業基準遵守の徹底のための直接罰の創設等、対策が一層強化されました。
なぜこんなにアスベストへの規制を厳しくすることにしたのでしょう。
アスベストとは?
アスベスト(石綿)は天然の繊維状の鉱物です。「燃えない」「軽い」「機密性が高い」という利点が断熱材、保温材、吸音材として最適とのことで断熱材として使用されたり、「粘着性」もあり建造物の壁・天井・柱・梁などに吹付け石綿として直接吹き付ける、セメントなどと混ぜて石綿スレートや石綿セメント板等にも加工されていました。
特に1975年(昭和50年)以前に造られた建築物には、吹付け石綿が使用されている場合が高く、鉄筋コンクリートのビル、一般住宅、役場や学校などの公共施設など様々なところに使用されております。一般の木造家屋に石綿が使用されている可能性は低いのですが、屋根がスレート材であったり、断熱材に石綿を使用した建物も少なくありません。
因みに建築物以外にも過去には衣料品やライターの芯など生活用品にも使われていました。
こんなに利点が多いアスベスト(石綿)ですが長期間大量に吸入すると、じん肺、悪性中皮腫、肺がんを引き起こす可能性があることがわかりました。空気中に浮遊するアスベスト(石綿)は、目で見ることができず、臭いもなく、吸い込んだという意識のないままじん肺、悪性中皮腫、肺がんを発症する危険性があります。
潜伏期間がアスベスト肺の場合10〜15年、肺がん15〜40年、悪性中皮腫20〜50年(厚生労働省より)と長いためアスベストと健康被害の因果関係に気づくのが遅れました。ですので昭和50年に原則禁止となり、石綿を必要としていた製品は代替品が全て見つかったため、平成24年に完全に禁止となりました。
規制を厳しくした背景、何が問題になったのか
1・規制対象になっていないレベル3のアスベストが飛散している問題
2・事前調査でアスベストが見落とされていた問題
3・短期間工事の場合違反を取り締まる前に工事が終わっている問題
4・不適切な作業でアスベストが取り残された問題
対策をしたけれど、それでもこんなに問題が発生していたんですね。
2023年(令和5年)10月1日「有資格者によるアスベストの事前調査・分析」が義務化
アスベストの事前調査を行うことができる人は以下になります。
①特定建築物石綿含有建材調査者(特定調査者)
②一般建築物石綿含有建材調査者(一般調査者)
③一戸建て等石綿含有建材調査者(一戸建て等調査者)
④令和5年9月30日以前に(一社)日本アスベスト調査診断協会に登録
され、事前調査を行う時点においても引き続き登録されている者。
解体工事のほか、建築物の模様替・修繕等の改修工事、建築設備の取付・取外し・ 修理等の工事も含まれます。
石綿含有建材が使用されているか否かを確認するための調査であり、設計図書等の 書面調査と現地での目視調査の両方を行う必要があります。
それでも明らかになら なかった場合、分析による調査を行うか使用しているものとみなすことになります。
一戸建て等調査者は一戸建て住宅や共同住宅の住戸の内部のみ事前調査を行うことができます。
すでに施行された改正内容
令和3年4月1日
規制対象の拡大
作業基準遵守義務者の拡大
発注者への作業結果の報告
事前調査結果の報告
直接罰の新設
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