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解体費用は相続税から控除できる?できない?節税に繋がる3つの税金を完全整理【2026年版】

2026/07/15

解体費用とは、相続した建物を取り壊す工事にかかる費用のことです。木造一戸建ての場合、坪単価3〜5万円が目安で、30坪〜35坪の住宅なら総額100万〜200万円前後になるケースが多いです(2026年時点)。

結論を先に言います。相続後に発生した解体費用は、相続税の「債務控除」には使えません。しかし諦める必要はなく、更地にして売却するなら「譲渡所得税」の計算において全額引くことができます。さらに「空き家の3,000万円特別控除」を組み合わせれば、売却益への課税がゼロになる可能性もあります。この3つの税金の関係を正しく理解できれば、実家の解体で損をする確率は大幅に下がります。

この記事のポイント

  • 相続後の解体費用は相続税の債務控除の対象外が原則
  • 例外:親が生前に解体契約を結んでいれば相続税から控除できる
  • 更地売却前提なら「譲渡所得税」の譲渡費用として全額控除可能
  • 空き家特例(最大3,000万円控除)の適用期限は令和9年(2027年)末まで
  • 解体は「1月1日を更地で迎えない」タイミング管理が鉄則

 

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相続後の解体費用は「相続税」の債務控除には使えない【結論】

実家を相続し、老朽化した建物を解体しようとする際、多くの方が「相続税の計算で引けないか?」と考えます。結論から言えば、相続開始後に発生した解体費用は、相続税の「債務控除」の対象にはなりません。これは税法上の明確なルールであり、解体費用の金額や老朽化の程度とは関係がありません。

ただし、例外が1つだけあります。「親が生前に解体業者と契約を結んでいたケース」です。このあたりを混同している方は実に多く、誤って相続税申告に含めてしまうと税務調査で否認されるリスクもあります。しっかり整理しておきましょう。

相続後の解体費用が控除できない「税法上の理由」

相続税における「債務控除」とは、被相続人(亡くなった方)が死亡した時点で、すでに支払う義務が確定していた債務のみが対象です。借入金、未払いの医療費、未納の税金などがその代表例で、いずれも「死亡時点でゼロにならなかった確定した負債」という共通点があります。

では、解体費用はどうでしょうか。親が亡くなった時点では建物はまだ存在していますし、解体の契約も結ばれていません。つまり相続開始後に「相続人が自分の意思で」業者を呼んで発注した工事代金は、被相続人が残した債務とは認められないのです。税務署の判断も、この点は一貫しています。

「払った費用なのに引けないのは理不尽だ」という気持ちはよくわかります。ただ、税法の論理はシンプルで、「財産から差し引けるのは、亡くなった瞬間に存在していた確定債務だけ」というルールが貫かれています。この原則に例外はほとんどありません。

例外ケース:親が生前に解体契約を結んでいた場合

唯一の例外は、「被相続人が生前に解体業者と工事請負契約を締結し、工事の着工直前または工事中に亡くなったケース」です。

この場合、解体工事代金は「被相続人が生前に結んだ契約に基づく将来の確定債務(未払金)」として扱われます。したがって、相続財産の課税価格から控除できます。ただし、この例外を適用するためには次の書類が必要です。

  • 解体業者との工事請負契約書(被相続人が署名したもの)
  • 見積書や発注書など、契約成立を示す証跡
  • 工事が実際に進行中であったことを確認できる書類

「死亡後に家族が慌てて契約を遡らせようとした」というケースは当然否認されます。あくまで「亡くなる前に契約が成立していたこと」が絶対条件です。

葬式費用は控除できるのに解体費用はなぜダメ?比較表で整理

「お葬式の費用は相続税から引けると聞いたけど、解体費用は違うの?」というのはよくある疑問です。確かに同じ「死後の支出」に見えますが、税法上の扱いは全然違います。整理するとこうなります。

費用の種類 相続税の債務控除 根拠・理由
葬式費用(通夜・本葬・火葬代等) ✅ 控除可 相続税法第13条の特例として明示されている
建物の解体費用(相続後に発注) ❌ 控除不可 死亡後に相続人の意思で発生した費用のため
遺品整理費用 ❌ 控除不可 相続人が引き継いだ財産を片付ける費用のため
解体費用(親が生前に契約済み) ✅ 控除可 被相続人の確定した未払金(債務)として扱われる

葬式費用は「被相続人の死という事実と不可分に結びついた必然的支出」として、税法が特別に控除を認めている例外です。解体費用はこのカテゴリには含まれません。誤って申告すると過少申告加算税の対象になりますので、くれぐれも注意してください。

 

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「相続税はダメ」でも「譲渡所得税」なら解体費用を全額控除できる

相続後の解体費用が相続税から引けないとわかっても、それだけで諦めるのは早いです。実家を売却する予定があるなら、別の税金である「譲渡所得税」の計算において、解体費用を全額「譲渡費用」として差し引くことができます。相続税とは完全に別の制度です。この違いを理解するだけで、手残り額は大きく変わります。

課税譲渡所得の計算式と「解体費用」の位置づけ

不動産を売却して利益が出ると、その利益(譲渡所得)に対して所得税と住民税が課されます。この「利益」は次の計算式で求めます。

課税譲渡所得 = 売却価額 ー(取得費 + 譲渡費用)

注目すべきは「譲渡費用」の部分です。「土地を売却するために直接かかった費用」は、ここに含めて課税所得を圧縮できます。解体費用は、更地渡しで土地を売るために行った工事であれば、まさにこれに該当します。

所有期間が5年を超えている場合の税率は、所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%です。解体費用が200万円あれば、200万円×20.315%=約40万円の節税効果が生まれます。決して無視できない額です。

なお、取得費が不明な場合は「売却価額の5%」を概算取得費として使えます。ただし実際の取得費(購入代金や相続時の評価額など)が判明しているなら、それを使った方が譲渡所得を小さくできます。

解体費用として「控除できるもの・できないもの」の境界線

解体工事に付随する費用のうち、何が譲渡費用に認められて何が認められないのか。ここは実際に間違える人が多い論点です。判断の軸は「土地の売却に直接必要だったか否か」の一点に尽きます。

費目 譲渡費用への該当性 条件・注意点
建物本体の解体費 ✅ 該当する 売却に直接必要(更地渡し等)であることが条件
室内の残置物・家具の処分費 ❌ 原則対象外 売主個人が処理すべき費用として扱われる
庭木の伐採・ブロック塀の撤去 ✅ 該当する 更地化に不可欠として一括発注されたもの
土地の測量・境界確定費 ✅ 該当する 売却に不可欠な場合(隣地との境界未確定など)
自主的な盛土・造成工事費 ❌ 対象外 土地の価値向上目的→「取得費」として扱われる

最も確実な証拠になるのは、売買契約書に「売主の負担において建物を解体し、更地にして引き渡す(更地渡し特約)」と記載されていることです。これがあれば、解体費用と売却の因果関係を書面で証明できます。見積書・領収書はすべて保管しておいてください。

共有名義で相続した場合の費用按分ルール

兄弟など複数人で実家を「共有名義」として相続し、その後解体して売却するケースは少なくありません。この場合、解体費用は各相続人の共有持分割合に応じて按分し、それぞれの確定申告で計上します。

例えば兄が70%、弟が30%の持分を持ち、兄が解体費用200万円を一時的に全額立て替えた場合でも、税務上は兄が140万円・弟が60万円の譲渡費用を各自の申告に計上するのが基本です。後から現金精算する際に混乱が起きやすいため、遺産分割協議書や精算ルールを書面で確認しておくことを強くお勧めします。

【知らないと損】取得費加算の特例で相続税を節税に転用する

これは競合記事にほとんど載っていない節税策なのですが、正直かなり重要です。相続税の申告・納付期限(相続開始から10ヶ月)から起算して3年以内、つまり相続開始から3年10ヶ月以内に相続した不動産を売却した場合、支払った相続税のうちその不動産に対応する部分を「取得費」に上乗せできます。これが「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(租税特別措置法第39条)です。

加算できる相続税額 = 支払った相続税 × (売却した不動産の相続税評価額 ÷ 相続財産の総額)

相続税をある程度支払っていて、かつ早めに売却できる方は、この特例と空き家特例の組み合わせを税理士に相談する価値があります。相続開始から3年10ヶ月という期限は案外早く来ますので、後回しにせず早めに動くことが賢明です。

 

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最強の節税:「空き家の3,000万円特別控除」で売却益をゼロにする

実家の解体・売却を検討する際に絶対に知っておくべき制度が、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」、通称「空き家特例」です。この特例を使うと、相続した空き家を解体して更地にして売った場合に、譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除できます。売却益が3,000万円以下であれば、譲渡所得税が丸々ゼロになります。

令和6年(2024年)の改正で使いやすくなった面がある一方、新たな落とし穴も生まれました。正確に理解しておきましょう。

空き家特例の適用要件チェックリスト

以下の要件をすべて満たす必要があります。1つでも外れると適用不可です。

  • 建物の建築時期:昭和56年5月31日以前(旧耐震基準の建物)
  • 被相続人の居住状況:相続開始の直前まで、被相続人が一人で居住していたこと
  • 利用状況:相続から売却・解体まで、賃貸・事業・居住に使用していないこと
  • 売却金額:土地と建物の売却代金の合計が1億円以下であること
  • 売却期限:相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
  • 制度全体の期限:令和9年(2027年)12月31日まで(国土交通省、2026年4月時点)

注意:マンション(区分所有建物)は空き家特例の対象外です。一戸建て、または共有状態の建物が対象となります。倉庫・車庫・離れの敷地も原則対象外です。

令和6年(2024年)改正の3つのポイントと落とし穴

令和5年度税制改正(令和6年1月1日以降の譲渡から適用)で、空き家特例が大きく変わりました。改正内容を正確に把握しておくことが、手残りを最大化する鍵になります。

①適用期限が令和9年(2027年)12月31日まで4年延長
これまでは令和5年(2023年)12月31日が期限でしたが、4年間延長されました。急いで売却できない状況でも、少し余裕が生まれたことになります(ただし相続開始からの3年カウントは別途あります)。

②「買主側での解体」が可能になった
以前は売主(相続人)が引き渡し前に解体を完了させることが条件でした。令和6年1月1日以降の譲渡からは、建物付きのまま売却し、買主が譲渡の翌年2月15日までに解体した場合も特例の対象となりました(国土交通省)。解体費用を用意できない相続人でも現状有姿で売却しやすくなっています。

③相続人が3人以上の場合、控除額が1人あたり2,000万円に縮小
1人または2人の相続人なら引き続き3,000万円控除のままですが、相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円に引き下げられました。複数の兄弟で実家を相続しているケースでは、事前にシミュレーションが必要です。

②の隠れた落とし穴:買主側で解体を行う場合、買主が負担する解体費用が「売却代金」に合算されて1億円超え判定がなされます。「土地代金+買主負担の解体費用の合計が1億円を超えると」特例が使えなくなるリスクがあります。売却価格の設定には慎重な計算が必要です。

空き家特例と「マイホームの3,000万円控除」の違い

「居住用財産の3,000万円特別控除」(いわゆるマイホーム特例)という別の制度もあります。これは自分が住んでいた家を売る場合に使う制度で、空き家特例とは別物です。どちらを使うべきか迷う方のために比較します。

項目 空き家特例 マイホーム特例
主な対象者 親の家を相続した人 自分が住んでいた家を売る人
旧耐震基準の縛り あり(S56年5月以前) なし
1億円上限 あり なし
売却期限 相続から3年以内の12/31 住まなくなった日から3年以内
同年に重複適用 ❌ 同年の重複適用は不可

相続した親の家に自分が引っ越して住み続けてから売却する場合はマイホーム特例を、親が亡くなった後も誰も住んでいない状態で売却する場合は空き家特例を、それぞれ選択することになります。両方の条件に当てはまるように見えるケースでも、同じ年に両方を使うことはできません。

 

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タイミング次第で大損!固定資産税「最大6倍」の落とし穴を回避する

解体費用や譲渡税の話と並んで、「固定資産税の急増」も見落としやすい大きなリスクです。「建物がなくなれば固定資産税が安くなる」と思いがちですが、現実は逆です。建物が建っている間は「住宅用地の特例」で大幅な減額が受けられており、解体するとその優遇が一気に消えます。

住宅用地の特例と賦課期日の仕組み

日本の固定資産税には「住宅用地の特例」という制度があり、住宅が建っている土地の課税標準を大幅に軽減します。具体的には、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)の課税標準を本来の1/6に、200㎡超の部分(一般住宅用地)は1/3に引き下げます。都市計画税も小規模住宅用地で1/3に軽減されます。

そして固定資産税の「賦課期日」—その年の土地の状態を判定する基準日—は毎年1月1日です。この日に更地であれば、住宅用地の特例は外れ、翌年度分の固定資産税が急増します。

東京都内の評価額3,000万円の土地(小規模住宅用地・200㎡以内)を例に計算するとこうなります。

  • 建物あり(特例適用中):3,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約7万円/年
  • 更地(特例なし):3,000万円 × 70% × 1.4% = 約29万4,000円/年

4倍超の増税です。「6倍」と言われることが多いですが、これは評価額の計算上の最大値で、負担調整措置(急激な増税を段階的に緩和する仕組み)があるため、実際には数年かけて徐々に増加するケースが多いです。それでも最終的な税額は大幅に増えることに変わりはありません。

「12月解体 vs 1月2日以降解体」税額シミュレーション

解体のタイミングが1ヶ月違うだけで、固定資産税の負担が大きく変わります。ここがまさに腕の見せどころです。

ケース 1月1日時点の状態 翌年の固定資産税(上記例)
A:12月中に解体完了 更地(建物なし) 大幅増(約29万4,000円〜)
B:1月2日以降に解体完了 建物あり(特例継続) その年は据え置き(約7万円)

もちろん「1月2日以降に解体すればずっと安いまま」ではなく、翌年の1月1日時点でも更地であれば、そこから増税が始まります。本質的な対策は「更地の期間を最小限にすること」、つまり解体後できるだけ早く売却を完了することです。解体着工のタイミングと売却活動のスケジュールは、必ず連動させて計画してください。

「特定空き家」に指定されると建物があっても特例が外れる

「建物を残しておけばずっと住宅用地特例が使える」と思っていると、もう1つの落とし穴があります。平成26年施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、著しく老朽化・危険な状態にある空き家は「特定空き家」に指定されることがあります。

特定空き家に指定され、自治体から「勧告」が出された場合、その翌年から住宅用地の特例の対象外となります。建物が存在していても、更地と同じ税率が適用されてしまうのです。さらに勧告を無視し続けると「命令→50万円以下の過料→行政代執行(費用全額請求)」という流れに発展します。放置するほどリスクが大きくなる一方なので、老朽化が進んでいる場合は早めに対処を検討してください。

 

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失敗しない「5ステップ手順」相続→解体→売却→確定申告

ここまで税務の理屈を説明してきましたが、「実際には何を、いつ、どういう順番でやれば良いのか」が一番知りたいところだと思います。節税しながら実家を解体・売却するための5ステップを、時系列で整理します。

STEP1〜2:遺産分割協議と相続登記(期限あり・2024年から義務化)

相続開始後まず行うのは「遺産分割協議」です。実家を誰が引き継ぐのか、あるいは売却益を兄弟で分ける「換価分割」にするのかを、相続人全員で合意して「遺産分割協議書」に落とし込みます。全員の合意なしに解体や売却を進めることはできません。

遺産分割後は「相続登記」(不動産の名義変更)を進めます。2024年4月から相続登記が義務化され、所有権取得を知った日または遺産分割成立日から3年以内の申請が必要になりました。正当な理由なく違反した場合は10万円以下の過料の対象となります。名義が確定しないと売買契約も締結できませんので、早めに動くことが重要です。

なお、相続した実家に亡くなった親の車が残っている場合は、不動産の手続きと並行して車の査定・処分も検討してください。MOTA車買取であれば最大20社への一括査定ができるため、現金化がスムーズです(MOTA車買取を実際に使ったレビューはこちら)。

STEP3〜4:解体見積もりと売買契約書への「更地渡し特約」記載

売却活動と並行して、複数の解体業者に現地調査・見積もりを依頼します。前面道路の幅員、隣地との隙間、残置物の量によって費用が大きく変わりますので、必ず現地を見てもらい正確な見積もりを出してもらうことが基本です。

買い手が見つかったら売買契約を締結します。このとき契約書に次のどちらかを明記することが、後の税務申告の核心的な証拠になります。

  • 「売主の負担において建物を解体し、更地にして引き渡す(更地渡し特約)」
  • 「譲渡後、買主が令和〇年2月15日までに建物を解体する(買主解体特約)」

どちらの方式を選ぶかは資金状況と買主との交渉によります。買主解体を選ぶ場合は、解体費用が1億円判定に加算されることを念頭に価格設定をしてください。

STEP5:確定申告で節税特例を確実に申請する

売却した翌年の確定申告期間(2月16日〜3月15日)に所轄の税務署へ申告します。以下の書類を揃えておいてください。

  • 被相続人居住用家屋等確認書(空き家が所在する市区町村の窓口に申請して発行してもらう)
  • 解体費用の領収書(全額保管。見積書・発注書も念のため保存)
  • 建物滅失登記の閉鎖事項証明書(法務局で取得。解体完了の公式証明)
  • 売買契約書・重要事項説明書
  • 相続による取得を証明する書類(遺産分割協議書等)

重要:空き家特例を適用した結果、税額がゼロになる場合でも確定申告は必須です。申告しなければ特例は適用されません。売却翌年の3月15日を過ぎると特例の申請ができなくなります。

 

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首都圏エリアで解体費用を圧縮する3つの実用テクニック

解体費用の節税(控除)で手残りを増やすと同時に、解体費用そのものを下げることも間接的な大きな節税です。首都圏エリア特有の事情を踏まえた3つの方法を紹介します。

自治体の「空き家解体補助金」を着工前に必ず確認する

東京都内の各区(中野区・板橋区・世田谷区など)や埼玉県内の自治体(さいたま市・川口市・越谷市など)では、老朽危険家屋の解体に対して補助金・助成金を設けているケースがあります。金額は自治体によって異なり、数十万円から最大100万円程度のものまで様々です。

これらの補助金は「必ず着工前に申請すること」が条件です。工事を終えてから申請しても受け付けてもらえない制度がほとんどですので、まず解体予定の不動産が所在する自治体の窓口(建築指導課・環境課など)に問い合わせることを最初の一手にしてください。

また、補助金を受け取った場合、確定申告で「譲渡費用」に計上できるのは「実際に自己負担した金額(解体費用総額 ー 補助金額)」だけです。補助金分を含めて全額を計上すると過大申告になりますのでご注意ください。

室内の家財は自分で処分してから解体を発注する

解体業者に室内の残置物(家具・家電・衣類など)の処分を頼むと、産業廃棄物として処理されるため、数十万円の追加費用が発生することがあります。自分で処分できるものを事前に片付けておくと、解体費用を大幅に削減できます。

有効な方法を挙げると次のようなものがあります。

  • まだ使えるものはリサイクルショップへ(出張買取サービスを利用すると効率的)
  • 燃えるゴミ・粗大ゴミは地域のルールに従って計画的に排出
  • 量が多い場合は「一般廃棄物収集運搬業」の許可を持つ遺品整理業者に依頼

産業廃棄物として業者に処理させるより、一般廃棄物として自分で処理する方がコストを抑えられます。室内を「空っぽ」にしてから解体を発注するのが、最も確実なコストダウンの方法です。

「分離発注」で中間マージンをカットする

実家の売却を不動産会社に依頼すると、解体工事も「提携業者を紹介します」という流れになりがちです。ただ、不動産会社やハウスメーカー経由で解体工事を発注すると、仲介手数料(中間マージン)が20〜30%上乗せされることが多く、同じ工事内容でも費用が膨らみます。

自社施工の地元解体専門業者に直接発注(分離発注)することで、このマージンをカットできます。解体一括見積もりサービス(クラッソーネ等)を使えば、複数の解体専門業者から同時に見積もりを取れて比較しやすいです。また見積書を複数持って値引き交渉の材料にすることも有効です。

 

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よくある質問

Q1. 親が亡くなる前に実家を解体しておいた方が節税になりますか?

なりません。生前に解体して更地にすると「住宅用地の特例」が外れ、親が存命の間から固定資産税が大幅に増えます。また、相続時に土地が更地であると評価額が上がるため相続税も増える可能性があります。さらに空き家特例は「相続した建物付きの土地を売却する」ことが前提であり、生前に更地にすると特例が使えません。売却スケジュールが具体的に決まるまでは、建物はそのまま相続を迎えるのが原則です。

Q2. 解体費用を支払うまとまった現金がありません。どうすればいいですか?

「買主側での解体(令和6年改正)」スキームを検討してください。2024年1月以降の譲渡なら、建物付きのまま売却し、買主が翌年2月15日までに解体する形でも空き家特例が使えます。売主が事前に解体費用を捻出する必要がなくなりました。ただし、買主が負担する解体費用が1億円判定に加算されるリスクがあるため、売却価格の設定を慎重に行う必要があります。不動産会社と税理士の両方への相談を強くお勧めします。

Q3. 解体後に土地が売れ残ってしまったらどうなりますか?

固定資産税の急増と空き家特例の期限切れが同時に起きるリスクがあります。更地で1月1日を迎えるたびに増税され、相続から3年を超えた年の12月31日を過ぎると3,000万円控除も使えなくなります。更地にしてから売れ残るのが最もリスクの高いパターンです。解体を動かす前に、地元の不動産会社と需要・価格の見通しを確認することが必須です。

Q4. 庭木・ブロック塀・古井戸の撤去費用も譲渡費用に入りますか?

更地として売却するために一体として発注されたものであれば、譲渡費用に含まれます。建物解体だけでなく、庭木の伐採・抜根、ブロック塀や擁壁の撤去、古井戸の埋め戻し工事なども、売却のための更地化に不可欠な工事として認められます。見積書・領収書はまとめて保管し、「更地渡しのための一連の工事費用」として整理しておいてください。

Q5. 遺品整理費用は相続税や譲渡所得税から差し引けますか?

残念ながら、どちらも原則として認められていません。遺品整理は「相続人が引き継いだ財産を自分で片付ける行為」とみなされるため、税務上の優遇はありません。解体工事の前提条件にはなりますが、費用の経費化はできません。できる範囲で親族が協力してコストを抑えることが賢明です。

Q6. 老人ホームに入所していた親の実家でも空き家特例は使えますか?

条件付きで使えます。被相続人が要介護認定または要支援認定を受けて老人ホーム等に入居していた場合、入居後も家屋を「一定使用」(一時帰宅や家財保管場所として使用)していれば対象に含まれます(平成31年度改正で追加)。ただし老人ホーム転居後に家屋を賃貸に出していた場合などは適用不可です。個別の判断が必要ですので、税理士か所轄の税務署への確認をお勧めします。

Q7. 「被相続人居住用家屋等確認書」はどこで発行してもらえますか?

空き家(解体前の建物)が所在する市区町村の窓口(建築指導課・住宅課など)に申請します。税務署ではなく市区町村です。申請に必要な書類は自治体によって異なるため、事前に電話・ホームページで確認してください。この確認書がなければ確定申告で空き家特例を申請できません。解体前に書類を処分しないよう注意し、申請に必要な資料(相続関係書類、建築確認済証、旧住民票など)は早めに揃えておいてください。

 

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まとめ:実家解体で損しないための「3税マップ」

実家を相続して解体・売却する際にかかわる税金は3つあります。それぞれの役割を整理しておくことが、節税の出発点になります。

  • 相続税:解体費用は原則控除不可。例外は生前の親の契約のみ。葬式費用との混同に注意
  • 譲渡所得税:売却前提なら解体費用を全額控除できる。空き家特例(最大3,000万円)と組み合わせれば税額ゼロも可能
  • 固定資産税:解体タイミングが命。1月1日を更地で迎えると翌年から増税。更地期間の最小化が最大の防衛策

2024年の改正で空き家特例は使いやすくなりましたが、「相続人3人以上での控除額縮小」や「買主解体時の1億円判定への加算」という新たな落とし穴も生まれました。特例全体の適用期限は令和9年(2027年)12月31日です(国土交通省)。相続開始からのカウントも別途ありますので、決断を先送りする余裕はあまりありません。

「解体するか、建物付きで売るか、まだ保有を続けるか」は不動産会社と税理士に相談しながら決めるべき問題です。ただ、この記事で解説した3税の全体像を頭に入れておくだけで、相談の質は格段に上がります。損をしてから気づくのではなく、動き出す前に把握しておくことが何より重要です。

 

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