相続した家の解体タイミングとは、固定資産税の課税基準日(毎年1月1日)を起点に、住宅用地の特例適用の有無が切り替わる判断ポイントのことです。
結論からいうと、固定資産税の節税だけを考えれば「1月2日以降の解体」が原則として有利です。ただし、相続空き家の3000万円特別控除の期限が迫っている場合、または空き家が管理不全空家に指定されそうな状態にある場合は、年内解体が正解になるケースも存在します。2026年現在の税制と法改正を踏まえ、自分のケースに当てはまる条件を確認してください。
- 1月1日が判定日:元旦に家があれば翌年の土地の税金が安い
- 固定資産税は「6倍」ではなく実態は3倍程度が正確
- 3000万円控除の期限は相続から3年目の年末(制度は2027年末まで)
- 管理不全空家に指定されると、家があっても特例が外れる
- 東京・埼玉では自治体補助金を使って解体費を圧縮できる
相続した家の解体は「1月2日以降」が固定資産税では正解。ただし例外3条件あり
原則は年明け解体が有利です。1月1日時点で建物が残っていれば、その年の土地の固定資産税が「住宅用地の特例」で大幅に減額されるからです。ただし、例外が3つあります。3000万円控除の期限が迫っているケース、管理不全空家に指定されそうなケース、比較的新しい建物で建物分の税額が大きいケース——この3つのどれかに当てはまるなら、年内解体を優先すべきです。
なぜ「1月1日」が運命の分かれ目になるのか
固定資産税は「年税」です。毎年1月1日(賦課期日)の時点で、その土地・建物の状況をもとに1年分の税額が確定します(出典:岡山市公式サイト)。月割りではないため、たとえば3月に解体しても、1月1日時点で建物が存在していれば、その年は建物分の税金が丸ごとかかります。
逆にいえば、12月31日に解体が完了していると、翌年1月1日には「更地」として認識され、住宅用地の特例が翌年度から一切適用されなくなります。1日の違いが、次の年の税額を数十万円単位で変えるわけです。これが「解体は1月2日以降が得」といわれる理由の本質です。
ここで気をつけたいのが、「登記のタイミング」と「物理的な状態」のどちらが基準になるか、という点です。自治体の判断は、法務局での建物滅失登記が完了した日ではなく、実態として建物が存在しているかどうかを基準とします(出典:愛知県あま市公式サイト)。12月31日に工事が終わり、翌年1月4日に滅失登記をした場合、1月1日の実態は「更地」ですから、特例は解除される可能性が高い点を覚えておいてください。
住宅用地の特例で実際いくら変わるか——具体的な試算
住宅用地の特例は、土地の固定資産税の課税標準額を以下のように圧縮する制度です(出典:総務省・地方税法)。
| 区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 課税標準額を1/6に減額 | 課税標準額を1/3に減額 |
| 一般住宅用地(200㎡超の部分) | 課税標準額を1/3に減額 | 課税標準額を2/3に減額 |
たとえば土地の評価額が3,000万円(200㎡以下)で、固定資産税率が標準の1.4%の場合を計算してみましょう。
- 建物あり(特例適用):3,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約7万円
- 更地(特例なし):3,000万円 × 1.4% = 約42万円
差額は年間35万円。それが毎年続くわけですから、売却まで2年かかるなら合計70万円の差になります。解体のタイミングを1ヶ月ずらすだけで、これだけの差が生まれるのです。
「固定資産税が6倍になる」は誇張——実態は3倍程度が正確
ネットでよく見る「更地にすると固定資産税が6倍に跳ね上がる」という表現は、厳密にいうと正確ではありません。
確かに小規模住宅用地(200㎡以下)の固定資産税の課税標準額は「1/6」に圧縮されています。だから特例が外れると「6倍になる」というロジックは数字上は成立します。ただし、実際には2つの要素が働くため、実態の税負担増は3倍程度に抑えられます(出典:株式会社上池解体興業)。
1つ目は、200㎡超の土地は「1/3」軽減のため、全体平均として6倍にはならないこと。2つ目は、更地になった土地には自治体の「負担調整措置」が適用され、一気に最大値まで上がらない仕組みになっていること。加えて、解体によって建物にかかっていた固定資産税(古い木造なら数万円)がゼロになるので、その分も相殺されます。「6倍」という数字が一人歩きしているので、土地の条件に合わせて自分で試算するか、自治体の税務課に確認するのが確実です。
それでも「年内解体が正解」になる3つのケース
年明け解体が原則有利ですが、以下の3つのいずれかに当てはまる場合は、年内に解体・売却を完了させた方が総合的に得になります。固定資産税の節約額と、他の税負担や機会損失を天秤にかけて判断してください。
ケース①:3000万円特別控除の期限が迫っているとき
相続した空き家(旧耐震基準の1981年5月以前建築)を売却する際に使える「被相続人の居住用財産の3000万円特別控除」は、適用期間に厳格な期限があります。
具体的には、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却(または更地化)が必要です(出典:国税庁 No.3306)。たとえば2022年10月に親が亡くなった場合、「3年を経過する日が属する年」は2025年になり、2025年12月31日が期限です。
ここが迫っているなら、固定資産税を1年分節約するより、数百万〜1,000万円規模の譲渡所得税控除を確保することを最優先にすべきです。制度の適用期限自体は2027年12月31日まで延長されていますが(令和5年度税制改正による)、「相続から3年目の年末」という個別の期限は変わりません。
もう一点、2024年1月1日以降の譲渡から重要な改正があります。これまでは「売主が解体してから売る」のが条件でしたが、売却後に買主が翌年2月15日までに解体した場合でも特例が適用されるようになりました(出典:国土交通省公式サイト)。年内に更地化が間に合わない場合でも、この改正を活用する選択肢が生まれています。
ケース②:管理不全空家に指定されそうな状態のとき
建物が存在していても、特例が外れるケースがあります。2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、自治体から「管理不全空家」として勧告を受けた物件は、住宅用地の特例が解除されます(出典:国土交通省・神戸市公式サイト)。
管理不全空家とは、「そのまま放置すれば特定空家になる恐れがある空き家」のことです。屋根や外壁の破損、雑草の繁茂、ゴミの不法投棄などが対象になる可能性があります。「年明けまで待ちたい」と判断する前に、建物の現状を確認してください。勧告を受けてしまえば、家があるのに特例が外れるという最悪の状態になります。
ケース③:比較的新しい建物で建物分の税額が大きいとき
築10年〜20年程度の建物の場合、建物の固定資産税評価額がまだ高く、建物分の税額が年間10万円以上になることがあります。こうした場合は、「建物税をなくすメリット」が「土地の特例喪失デメリット」を上回るケースも出てきます。土地の評価額が低めの地方・郊外エリアでは特にこの計算が逆転しやすい傾向があります。
ただし正直なところ、ほとんどのケースでは土地の特例喪失の方が痛いです。東京・埼玉のように地価が高いエリアであれば、建物がボロボロの築40年以上の木造住宅であれば建物分の税額は数千円〜数万円にすぎず、計算するまでもなく「年明け解体が得」という結論になります。
「管理不全空家」の新ルール——年明けまで待っていたら特例が消える
「年明けまで待てばいい」という結論に飛びつく前に確認が必要なのが、管理不全空家の問題です。2023年12月の法改正以降、放置した空き家に対する自治体の権限が大幅に強化されました。住宅用地の特例が解除されるのは、もはや解体した後だけとは限りません。
2023年12月施行の改正で何が変わったか
改正前は、住宅用地の特例が解除されるのは「特定空家(倒壊の危険がある空き家)」として勧告を受けた場合だけでした。ところが改正後は、その一歩手前の段階——「管理不全空家(そのまま放置すれば特定空家になるおそれがある空き家)」として勧告を受けた場合も、住宅用地の特例が解除されます(出典:国土交通省・上田市公式サイト)。
流れとしては「助言・指導」→「勧告」の2段階で、勧告を受けた段階で特例解除が発動します。助言・指導の段階で適切に対応すれば解除を避けられますが、放置して連絡を無視し続けると、特例解除のうえに過料(50万円以下)が課されるリスクもあります(改正法による)。
管理不全空家に指定される前に自分でできる対策
相続した家が長期間空き家になっているなら、以下の対策が有効です。
- 定期的な草刈り・清掃(年2〜4回)
- 窓や外壁のひび割れを補修する
- ポストの郵便物を定期的に回収する
- 自治体の空き家管理サービスを利用する
解体を年明けまで待つなら、その期間中の管理体制を整えておくことが前提条件になります。管理が難しい遠方の実家であれば、地元の不動産会社や管理代行業者に依頼することを検討してください。
相続登記義務化との関係(2024年4月から)
2024年4月から相続登記が義務化されました。相続を知った時点から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料の対象になります(出典:法務省)。2024年4月以前に発生した相続にも遡及して適用されるため、すでに相続が発生しているのに登記を放置している場合は優先的に対応が必要です。
登記義務化によって、自治体側も所有者の特定が迅速になっています。「誰が壊すか決まっていないから放置」という状況は、ますます通用しなくなっていることを認識しておいてください。
3000万円特別控除を確実に使い切るための解体スケジュール設計
相続した空き家の売却で最大の節税になるのが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る3000万円特別控除」です。固定資産税の節約とは次元が違う金額の節税になるため、この特例の要件と期限を先に確認してから、解体のタイミングを逆算するのが正しい手順です。
控除の要件を2026年最新版で整理
国税庁(No.3306)および国土交通省の公式情報に基づき、主な適用要件を整理します。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 対象となる家屋 | 昭和56年5月31日以前に建築(旧耐震基準) |
| 被相続人の居住状況 | 相続直前に被相続人が一人で居住していたこと(老人ホーム入所中も一定の要件を満たせば対象) |
| 相続後の使用状況 | 相続後に貸付・居住・事業の用に供していないこと |
| 売却期限 | 相続開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日まで |
| 制度の適用期限 | 2027年(令和9年)12月31日まで |
| 売却価格の上限 | 1億円以下 |
| 控除額 | 最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は最大2,000万円/人) |
注意点が一つあります。相続人が3人以上いる場合、2024年1月以降の売却から一人当たりの控除額上限が3,000万円から2,000万円に引き下げられています(令和5年度税制改正)。「昔から知っている」という方も、相続人の人数によって金額が変わった点を再確認してください。
2024年1月以降の改正点「買主解体でも使える」
元記事にも記載されていましたが、ここは重要なので詳しく補足します。
従来は「売主側が解体してから土地を売る」のが特例活用の鉄則でした。ところが2024年1月1日以降の譲渡からは、「家を売った後、買主が翌年2月15日までに解体した場合」も特例が適用されるようになりました(出典:国土交通省公式サイト・令和5年度税制改正)。
これにより、「年末に解体が間に合わない」という状況でも、売却を先行させてから買主に解体してもらう選択肢が使えるようになっています。ただし、買主の協力が前提になるため、売買契約書に「翌年2月15日までに解体する」旨の特約を盛り込んでおくことが実務上は推奨されます(出典:国土交通省Q&A)。
期限を逆算した解体スケジュールの組み方
3000万円控除を使うことが確定している場合、以下のように逆算してスケジュールを組むのが現実的です。
- 期限の3〜4ヶ月前:業者への見積もり依頼・補助金申請(工事前申請が必須)
- 期限の2〜3ヶ月前:解体工事の開始
- 期限の1ヶ月前:滅失登記の完了
- 期限の年末まで:売買契約・引き渡しの完了
12月は業者が繁忙期になるため、年末に向かって工期が取りにくくなります。期限が迫っている場合は早めに動くことが鉄則です。
東京・埼玉の解体補助金を使って実質負担を下げる
解体費用は木造30坪で150万〜200万円が相場(2026年現在、人件費・廃材処分費の高騰を反映)です。ただし、東京・埼玉エリアでは自治体の補助金を活用することで、この負担を大幅に圧縮できます。補助金は予算に達し次第終了のため、スケジュールを決めたら早めに確認するのが肝心です。
東京都内の補助金制度——区ごとの違い
東京の補助金は区によって金額・条件が大きく異なります。2026年1月時点で確認できた主な制度を整理しました(出典:解体工事補助金まとめサイト2026年最新版・各区公式情報)。
| 自治体 | 補助上限 | 補助率 | 主な対象条件 |
|---|---|---|---|
| 世田谷区 | 200万円 | 50% | 老朽建築物の除却 |
| 杉並区 | 150万円 | 80% | 老朽危険空家の除却 |
| 墨田区(緊急対応地区) | 最大1,550万円 | — | 木造住宅(床面積あたり単価制) |
不燃化特区に指定されているエリア(足立区・品川区・墨田区の一部など)では、さらに高額の補助が出ることがあります。ただし、不燃化特区の補助は対象エリアが限定されており、指定地区外の物件は対象外です。自分の物件が対象地区かどうかを、まず各区の担当窓口に確認してください(足立区・品川区については予算年度ごとに変動するため、公式サイトで最新情報を確認することを推奨します)。
また、東京都全体の補助金制度として「東京都空き家家財整理・解体促進事業」があります(出典:東京都住宅政策本部)。詳細は東京都住宅政策本部の公式サイト(https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo/kaitai_seiri)でご確認ください。
埼玉県内の補助金制度——さいたま市・川越市ほか
埼玉県では市町村単位で補助金を設けています。東京ほど上限額は大きくありませんが、要件が比較的緩やかなケースが多いのが特徴です(出典:ACTIVE社2025年版・空き家パス)。
| 自治体 | 補助上限の目安 | 主な対象条件 |
|---|---|---|
| さいたま市 | 最大60万円 | 耐震補強等助成事業(エリア限定) |
| 深谷市 | 最大50万円 | 老朽住宅の除却 |
| 越谷市 | 最大50万円 | 老朽住宅の除却 |
| 川越市 | 自治体に要確認 | 空き家解体補助(年度ごとに変動) |
埼玉の補助金は「昭和56年5月以前の建築」「1年以上未使用」「個人所有」などの条件が多く、旧耐震基準の空き家が主なターゲットです。相続した古い実家であれば条件に合致しやすいので、必ず事前に窓口へ相談することをおすすめします。
補助金申請の注意点——工事前申請が必須
これは全国共通の原則ですが、解体工事の補助金・助成金は例外なく「工事着工前の申請・承認」が必要です。工事が終わってから申請しても受け付けてもらえません(出典:日本エコジニア・みんなの補助金コンシェルジュ)。
年内解体を検討しているなら9月〜10月には申請手続きを開始するのが理想です。補助金は予算がなくなり次第終了のため、年度内の早い時期から動いた方が採択率は上がります。「解体タイミングと補助金の申請タイミングを同時に設計する」という意識が大切です。
ケース別の損益分岐点シミュレーション
ここまでの内容を踏まえて、「年内 vs 年明け」の損益をケース別にまとめます。自分のケースに近いものを参考にしてください。
シミュレーション①:固定資産税の節約額で比較する
土地の評価額別に、年明け解体で節約できる固定資産税(1年分)の試算です。
| 土地の評価額(200㎡以下) | 建物ありの場合の土地税額 | 更地の場合の土地税額 | 1年の差額(節約額) |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 約2.3万円 | 約14万円 | 約11.7万円 |
| 2,000万円 | 約4.7万円 | 約28万円 | 約23.3万円 |
| 3,000万円 | 約7万円 | 約42万円 | 約35万円 |
| 5,000万円 | 約11.7万円 | 約70万円 | 約58.3万円 |
※土地固定資産税率1.4%で試算。負担調整措置は考慮せず概算値。実際の税額は各自治体の固定資産税通知書で確認してください。
東京23区やさいたま市の地価が高いエリアでは、評価額が3,000万円〜5,000万円以上になることも珍しくありません。年明けに解体するだけで、年間30万〜60万円の節税になるケースが多いのが現実です。
シミュレーション②:3000万円控除が使えるケースとの比較
3000万円控除と固定資産税の節約額は、文字通り桁が違います。仮に売却益が2,500万円あった場合の税負担比較を見てみましょう。
- 3000万円控除を使った場合:譲渡所得税額 ≒ 0円
- 期限を過ぎて控除が使えなかった場合:2,500万円 × 20.315% ≒ 約508万円
固定資産税を1年節約したとして、最大でも数十万円の話です。3000万円控除の失効と比べれば、「固定資産税1年分の節約」など誤差の範囲にすぎません。期限が迫っているなら、固定資産税の節約にこだわる必要はまったくありません。
逆算スケジュール——9月から動けば最も選択肢が多い
損をしないための理想的な行動スケジュールを、時期別にまとめます。
| 時期 | 行動内容 |
|---|---|
| 9〜10月 | 複数業者に見積もり依頼・自治体の補助金予算と要件の確認・税理士への相談(3000万円控除の可否確認) |
| 11月 | 補助金の申請・業者との契約締結(工事開始日は1月2日以降で予約)・不動産会社への売却相談 |
| 12月 | 年内解体が必要なケースは着工・年明け解体の場合は1月着工の準備 |
| 1月〜2月 |
解体工事・建物滅失登記・売却活動の本格開始 |
| 3月以降 | 更地として引き渡し・確定申告の準備 |
よくある質問
- Q. 12月31日に解体完了、登記が1月4日の場合の固定資産税はどうなりますか?
-
1月1日時点の実態が「更地」であれば、翌年から住宅用地の特例が解除される可能性が高いです。固定資産税は登記の日ではなく、1月1日の物理的な状態を自治体が確認して判定します(出典:愛知県あま市公式サイト)。自治体によって判断が異なる場合もあるため、解体完了後は速やかに管轄の税務課に状況を伝えることを推奨します。
- Q. 更地にすると固定資産税は何倍になりますか?
-
一般的に言われる「6倍」は理論値です。200㎡超の土地は軽減率が3分の1のため実際は6倍未満になること、自治体の負担調整措置が働くこと、建物分の税がゼロになることを考慮すると、実態は3倍程度に上昇するケースが多いとされています(出典:株式会社上池解体興業)。ただし土地の規模・評価額・所在地によって異なるため、自治体の固定資産税係に試算を依頼するのが確実です。
- Q. 3000万円特別控除の「相続から3年」とはいつを起点に数えますか?
-
被相続人(亡くなった方)が亡くなった日(相続開始日)が起点です。たとえば2022年10月15日に亡くなった場合、3年を経過する日は2025年10月15日で、「その日が属する年」は2025年のため、2025年12月31日が売却期限になります(出典:国税庁 No.3306)。
- Q. 旧耐震基準(1981年5月以前建築)ではない場合、3000万円控除は使えませんか?
-
相続空き家の3000万円特別控除は昭和56年5月31日以前に建築された家屋が対象のため、それ以降の建築物は基本的に対象外です。ただし、自分が居住していたマイホームの売却に使える「居住用財産の3000万円控除」(租税特別措置法35条1項)は別制度で、建築年の制限はありません。どちらの特例が使えるか、税理士に確認することをおすすめします。
- Q. 管理不全空家に指定されると、いきなり固定資産税が上がるのですか?
-
いいえ、段階があります。まず自治体から「助言・指導」が行われ、それでも改善されない場合に「勧告」が出ます。勧告を受けた段階で住宅用地の特例が解除され、固定資産税が上昇します(出典:神戸市公式サイト・改正空家等対策特別措置法)。助言・指導の段階で適切に対応すれば、特例解除を回避できます。
- Q. 解体後の建物滅失登記はいつまでにすればよいですか?
-
不動産登記法上は、建物を取り壊した日から1ヶ月以内に申請する義務があります。怠ると10万円以下の過料の対象になります。また、滅失登記をしないと、実際には建物がないのに翌年以降も建物分の固定資産税が課税され続けるリスクがあります(出典:訳あり物件買取プロ)。解体工事と滅失登記はセットで計画してください。
- Q. 補助金は解体後に受け取れますか?
-
補助金は工事完了後に必要書類(領収書等)を提出してから受け取る形が一般的ですが、申請自体は必ず工事着工前に行う必要があります。工事後に申請しても受け付けられません(出典:日本エコジニア)。また審査に数週間〜1ヶ月以上かかる場合もあるため、スケジュールに余裕を持って動くことが重要です。
- Q. 売却後に買主が解体する場合でも3000万円控除は使えますか?
-
2024年1月1日以降の譲渡であれば、売却後に買主が「翌年の2月15日までに」解体した場合も特例が使えます(出典:国土交通省・令和5年度税制改正)。ただし買主の協力が不可欠のため、売買契約書に解体特約を盛り込むことが推奨されています。
- Q. 東京の不燃化特区の補助金はどこで調べればよいですか?
-
各区の建築・住宅担当部署のウェブサイトか、東京都住宅政策本部の「補助金一覧」ページ(https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo)で確認できます。不燃化特区は区ごとに対象地区が定められており、同じ区内でも地区によって補助の有無や金額が異なります。
- Q. 相続人が複数いる場合、3000万円控除は各人に適用されますか?
-
相続人が2人以下の場合は各人最大3,000万円、3人以上の場合は各人最大2,000万円(2024年1月以降の売却から適用)の控除を受けられます(出典:国税庁 No.3306・令和5年度税制改正)。ただし、同一の被相続人からの相続について特例の重複適用は制限があります。複数人での売却は税理士への相談を強くおすすめします。
まとめ——3つの判断基準で自分のケースを確認する
相続した家の解体タイミングは、次の3つの判断基準を順番に確認することで、自分のケースに合った答えが出ます。
- 判断基準①:3000万円特別控除の期限は迫っているか?
迫っているなら、固定資産税の節約にこだわらず年内に売却・更地化を優先する。期限まで余裕があれば②へ。 - 判断基準②:管理不全空家に指定されるリスクはあるか?
建物が傷んでいて自治体から連絡が来ているなら、放置は危険。年明けを待たずに解体または管理強化を検討する。リスクがなければ③へ。 - 判断基準③:固定資産税の節約額は補助金・売却タイミングと釣り合うか?
釣り合うなら1月2日以降の解体が正解。東京・埼玉の補助金を事前に確認し、9〜10月から動き出すのが最も選択肢が多い。
2026年現在、空き家に対する行政の目は厳しくなっています。「いつか壊せばいい」という先送りが、管理不全空家への指定や相続登記義務違反という形でコストになって返ってくる時代です。年明け解体を選ぶにしても、「その期間に何をするか」の計画が必要だという認識で動いてください。
東京・埼玉エリアで空き家の解体を検討されている方は、補助金の申請期限と工事スケジュールを合わせて、信頼できる地元の解体業者に早めに相談することをおすすめします。
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- – 国税庁 No.3306:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- – 国土交通省(空き家3000万円控除):https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
- – 東京都住宅政策本部(補助金一覧):https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo
- – 愛知県あま市(固定資産税の取り扱い):https://www.city.ama.aichi.jp/faq/c_03/1001228/1001251.html
- – 神戸市(空き家法改正):https://www.city.kobe.lg.jp/a92551/business/todokede/jutakutoshikyoku/building/work/akiyahoukaisei.html


